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“働かない改革”は“ゆとり教育”の二の舞になる!
中国に負けて、日本は二流国に転落へ

北見式賃金研究所 北見昌朗 平成30年8月

“働かない改革”は“ゆとり教育”の二の舞になる!

働き方改革は選挙の美辞麗句

安倍首相は、働き方改革を主要政策に掲げる。「生産性を向上して、ベースアップを実現して暮らしの向上を図る」と語る。

だが、北見昌朗はそもそも生産性がなぜ急に上がるのか理解できない。これまで遊んでいたわけではないのに、なぜ、どうして生産性が上がるのか? そんなの選挙用の美辞麗句であり、根拠がないプロパガンダだと言わざるを得ない。

ゆとり教育は土曜日に働かない人を産み出した

働き方改革と二重写しになってしまうのは、ゆとり教育だ。

政府は学習時間と内容を減らしてゆとりある学校を目指し、2002年4月6日から公立小中学校及び高等学校の多くで毎週土曜日が休みになり完全な週5日制となった。

ゆとり教育はデメリットが取りざたされることが多いが、代表的なものが「学力低下」だ。それまで相対評価と言われていた通知表の評価を個人ごとに見る「絶対評価」に変えた。

また「競争社会」をやめようと、運動会の徒競走は全員1位、学芸会では全員主役になるといった内容も物議を呼んだ。

だが、「順位を付けない」という考えは現実社会とはかけ離れており、社会に出てから挫折する子供が増えてしまった。

この“ゆとり教育”の悪影響は大きかった。土曜日に授業が休みだったために、社会に出ても土曜日の勤務を嫌がる若者にしてしまった。

「仕事が終わるまでやる」のは日本人の美徳

新労働基準法では、残業が厳しく制限される。一定時間を過ぎてしまうと、企業側が違法になってしまうので、帰らせるほかなくなってしまう。

目の前にドッサリと仕事が残っていても、サッサと帰るのである。それによる顧客離れは当然予想される。

そもそも日本人は昔から仕事をやりきってから帰った。みなで一緒に汗を流して、やり切ってきた。

「勤労は美徳だ」という勤労観は、わずかながら残っていたと思うが、それにトドメを刺すのが今回の労働基準法改正である。

これでは米国人や中国人に負けてしまう。

ダブルワーカーが増える

残業削減は、従業員にとっても厳しい問題だ。残業代が減った分だけ年収が減ってしまうだろう。大手企業ならば、ベースアップという形で利潤を従業員に還元できるかもしれないが、中小企業には元々そんな余裕はない。

会社側は、副業を禁止している就業規則を見直し、アルバイトを黙認する方向になるだろう。

残業代減を補うため、従業員は終業後にアルバイトに精を出すようになる。夜遅くまで働いたら、それこそ身体を痛めそうだ。

「手に職」が付かなくなり技能伝承がなくなる

厳しい残業規制により、成り立たなくなる仕事がある。長い修業が必要な職人仕事だ。

例えば「宮大工」という仕事がある。社寺の建築や修復を行う仕事だが、それには長い下積み時代が必要である。カンナがけは、今なら機械で一瞬でできるが、それでは腕が身に付かないので、あくまでも人間が行う必要がある。

このような職人芸は、たくさんある。和食職人、和菓子職人、陶器職人、木工職人など枚挙に暇がない。それらが消滅しかねないのだ。

このままでは経営者の多くが労基法違反の“犯罪者”になる

北見昌朗は顧客からこう言われるようになってきた。

「これだけ残業規制が厳しくなるともうやっていけない。モノ造りを止めろというのと一緒だ」

このように言われると、北見昌朗は返す言葉もない。社会保険労務士として労働基準法の遵守を求めるのが仕事だ。だが、現実には困難なことを知っている。

このグラフを見てほしい。「愛知県 中小 製造業 男性社員 残業時間数」だ。縦軸は残業時間数で、横軸は年齢である。縦軸に赤ラインが引いてあるのが30時間で、36協定の遵守ラインだ。

これを超過すると違法になりかねないが、超過しているのは52.9%いる。

“愛知県 中小 製造業 男性社員 残業時間数

従業員に違法残業をさせると、経営者は労働基準法違反ということで犯罪者になってしまう。

中小企業の経営者は、勤勉に働いて日本社会に貢献してきた。今の日本社会で、一番猛烈に働いてきたのは、社長さんたちだ。何の保護もなし、保障もなしで身を粉にして働いてきた方々だ。

社長が経営の自信を喪失してしまうと、誰も継がなくなり、いよいよ後継者難で、中小企業が消滅してしまうだろう。

「日本人は働き過ぎ」は過去の話

そもそも、日本人が働き過ぎだったのは、前の世代のことだ。戦後の日本を復興した方々のことだ。

北見昌朗は午後5時過ぎに名古屋駅から電車に乗ると、思わず車内を見渡してしまう。ネクタイを締めた中高年男性がいっぱい乗っているのだ。おそらく17時に会社を出て、18時までに帰宅するのであろう。働き盛りの男が、そんなに早く帰って、いったいどうするのか? と言いたくなる。

公庁や大手企業では、年間休日120日が一般的になっているが、年休20日を取得したら、1年間の4割も休むことになる。

こんなことで、日本はやっていけるのだろうか? 資源もないのに。

日本人は、もっと働くべきだ。次の世代のためにも、もっと、もっと働こう!