給与トップ> 子供手当> 廃止相次ぐ配偶者手当

家族手当を「子供手当」に変更を!

家族手当見直し 配偶者控除拡大に伴う緊急アンケート家族手当見直し 配偶者控除拡大に伴う緊急アンケート

中日新聞(平成29年3月2日付)「家族手当見直し広がる」に、北見昌朗のコメントが載りました。

春闘2017 家族手当見直し広がる

家族手当見直し広がる

今春闘で課題の項目の一つ、家族手当を見直す中部地方の企業が増えている。パートらの就労時間の調整につながる配偶者手当を廃止するなど「見直し派」の企業は三分の一に上る。女性の社会進出を促そうと、政府が税法の配偶者控除を見直すのと足並みをそろえた動きだが、課題も残る。

工具の専門商社、羽根田商会(名古屋市)は一月下旬に家族手当を見直した。「配偶者手当は男性目線で、女性社員には不公平感があった」と佐藤祐一社長。配偶者の年収がパートなどで百三万円以下なら手当を支給してきたが、同社では全社員の三割を女性が占める。既婚の女性社員にすれば、夫と共稼ぎなら事実上、もらえない手当だった。

月二万円の支給額を徐々に減らし、三年後に配偶者手当を廃止する。浮いた原資で子ども手当を増額する。これまでは第一子に月一万を支給し、第二子以降は月五千円に減らしていたが、一律一万円とする。佐藤社長は「企業として少子化を食い止めることに少しでも貢献できれば」と話す。

北見式賃金研究所(名古屋市)が昨年十二月、東海三県(愛知、岐阜、三重)の中小企業百四十一社に行った調査では、過去三年間に家族手当を廃止したり、支給額を変更した企業は10%あった。今後見直しを検討する企業も23%に上る。

配偶者手当を巡っては、トヨタ自動車の労使が二〇一五年、廃止する方針で合意。経団連も今春闘の経営側方針で「あり方を再点検するのが望ましい」としている。多くの企業が手当支給に配偶者の収入要件を設けており、それを超えまいと主婦パートらの就労調整につながっているためだ。

支給要件の見直しも広がりそうだ。現在は六割の企業が配偶者手当の支給基準を、税法の配偶者控除と同じ年収百三万円以下にしているが、北見昌朗所長は「今後は基準を百三十万円未満に変更する企業が増える」とみる。配偶者控除の基準は来年一月から年収百五十万円以下に引き上げられるが、例えば夫が会社員の主婦パートが年収百三十万円以上になると、健康保険は夫の扶養から外れ、自ら国民健康保険に加入する必要が出てくるためだ。

北見所長の試算では、夫が会社員の主婦パート(時給九百円で月に二十日間働くケース)が年収百三十万円に収まるように勤務時間を調整すると、一日当たりの勤務時間は従来より五十分延びる。だが、「一種の弥縫策にすぎず、新たに『百三十万円の壁』ができるだけ。社会保険を考慮せずに、控除や手当の見直しを縦割りで議論しているので、女性の社会進出を促す意味では実効性を欠く結果になっている」と指摘する。

家族手当 扶養家族がいる従業員に企業などが払う手当の総称。配偶者手当や子ども手当などがある。家族の生活費を賄うため基本給以外の手当を払うことで、従業員が安心して仕事ができる勤続奨励の狙いもある。近年は少子化や女性の社会進出を受け、手当を見直す企業が増えている。