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民間の給与調査から“良いとこ取り”して作り上げた人事院勧告

公務員は800万円が600万円へ
中小は500万円が300万円へ
どこが民間準拠なのか???

所定内給与の減額率は0.75前後で月給40万円(賞与別)へ

北見昌朗のコメント
民間企業、その中でも中小企業は、60代の従業員にいくらの給与を払っているでしょうか? 北見昌朗は0.6ぐらいではないかと推察しています。0.7というのは、かなり良い数字でしょう。
人事院は、「民間の給与を調査したところ、定年前の0.7になっている」と言って、その数字を根拠に自分たちも0.7にすると言い出しました。民間とはそもそも給与水準が違いますから、その上で0.7となったら、まさに公務員天国です。

人事院勧告の内容で注目するべき点は、ココです。

①基本給は0.7とする
国家公務員の世界では基本給のことを「俸給」と言います。

「現行の定年を超える職員の俸給月額は、当分の間、現行の定年に達した日後における最初の4月1日以後、その者の受ける号俸の俸給月額に100分の70を乗じて得た額とする」

②家族手当・住宅手当等は1.0とする

「扶養手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当、特殊勤務手当、宿日直手当及び寒冷地手当は60歳前の職員と同額とする」

③賞与は0.7とする
国家公務員の世界では、賞与のことを「期末手当及び勤勉手当」と言います。

「期末手当及び勤勉手当は俸給月額等に連動した額」(つまり0.7)

④国家公務員の行政職の50代の給与は53万円(うち基本給44万円)
人事院のサイトには「平成29年国家公務員給与等実態調査の結果」があり、そこに次のように記載されています。

大卒の行政職の50代の俸給は44万6108円です。

諸手当を含めた所定内賃金(賞与含まず)は、53万6666円です。

その差額は、家族手当・住宅手当などの諸手当(時間外手当含まず)で、9万558円です。

適用俸給表別、経験年数階層別、給与決定上の学歴別人員および平均俸給額

行政職俸給表の年齢階層別、給与決定上の学歴別人員および平均俸給額

※画像クリックで拡大版が開きます。

⑤所定内給与の減額率は0.75前後
人事院勧告通りに給与を決めると、所定内給与は結局0.75になります。

大卒の行政職の50代の俸給は44万6108円です。

59歳 60歳
基本給 44万円 31万円(44万円×0.7)
諸手当 9万円 9万円
(扶養手当や住宅手当など
従来と変わらず)
合計 53万円 40万円(現役時代の0.75)

以下は、人事院サイトから転載。
http://www.jinji.go.jp/iken/moushide.html

人事院勧告の内容(主な部分)

60歳を超える職員の給与

民間企業の60歳を超える従業員の給与の状況を「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)で見ると、行政職俸給表(一)の適用を受ける常勤職員と類似する「管理・事務・技術労働者」(フルタイム・正社員)の60歳台前半層の従業員の年間給与は、企業規模10人以上で515.2万円、同100人以上で596.7万円となっており、この年間給与について、50歳台後半層の年間給与と比較すると、企業規模10人以上で68.8%、同100人以上で70.1%となっている(平成27年、平成28年及び平成29年の平均値)。

また、本院が本年実施した「職種別民間給与実態調査」においても、定年を60歳から61歳以上に引き上げている事業所(定年制を廃止した事業所を含む。)のうち60歳時点で従業員の給与の減額を行っている事業所における60歳を超える従業員の年間給与水準について見ると、平均で60歳前の7割台(課長級は75.2%、非管理職は72.7%)となっている。

これらの状況を踏まえれば、60歳を超える職員の年間給与は、60歳前の7割の水準に設定することが適当であると考える。

(1)俸給
① 現行の定年を超える職員の俸給月額は、当分の間、現行の定年に達した日後における最初の4月1日以後、その者の受ける号俸の俸給月額に100分の70を乗じて得た額とする。
ただし、定年制度が適用されない臨時的職員その他の法律により任期を定めて任用される職員等の給与はこの措置の対象としないこととする。

② 60歳を超える職員は、現行の55歳を超える職員と同様、勤務成績が特に良好である場合を除き、昇給しないこととする。

(2)諸手当等
① 俸給の調整額、俸給の特別調整額、本府省業務調整手当、初任給調整手当及び管理職員特別勤務手当については、俸給月額と同様、60歳前の手当額等の7割を基本に手当額等を設定する。

② 専門スタッフ職調整手当、地域手当、広域異動手当、研究員調整手当、特地勤務手当、特地勤務手当に準ずる手当、超過勤務手当、休日給、夜勤手当、期末手当及び勤勉手当は俸給月額等に連動した額とし、扶養手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当、特殊勤務手当、宿日直手当及び寒冷地手当は60歳前の職員と同額とする。

高年齢雇用継続基本給付金とは?

厚生労働省のサイトより
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158464.html

高年齢雇用継続基本給付金

60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が60歳時点の75%未満となっている方で、以下の2つの要件を満たした方が対象となります。

  1. 60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
  2. 被保険者であった期間が5年以上あること。

60歳到達時の賃金月額と比較した支給対象月に支払われた賃金額(みなし賃金を含む)の低下率に応じた支給率を、支給対象月に支払われた賃金額に乗ずることにより高年齢雇用継続給付の支給額を計算します。

高年齢雇用継続給付の支給額