給与トップ > 相談事例集 > 就業規則は「作った後」が難しい

就業規則のメンテナンスができていない

当社は株式上場しています。困っているのは就業規則類のメンテナンスです。新規上場の際には就業規則を整備したのですが、その後は担当者が交替したこともあってできていません。社員が300人ぐらいなので、労務担当者も兼務の状態で進まないのです。

(東京都・卸売業・社員300人・60代・代表取締役)

.今日は就業規則の件で相談させてください。正直に言うと、ずっと気にはなっていたのですが、ここまで放置してしまったことに、少し焦っています。 .
どのあたりが、一番のご不安ですか。

.当社は株式上場しています。新規上場のときには、就業規則や賃金規程、各種社内規程を一通り整備しました。
そのときは、外部の専門家にも入ってもらい、時間もかけて、かなりきちんと作ったと思っています。 .
上場準備のタイミングですね。

.はい。ただ、その後です。担当者が交替したこともあり、就業規則類のメンテナンスが、ほとんどできていません。
社員は300人ほどいますが、労務担当者は専任ではなく、人事、総務、採用などを兼務している状態です。正直、「就業規則まで手が回らない」というのが実情です。 .
よくある状況です。

.上場企業というだけで、外からは「中はきちんとしているはずだ」と思われます。でも実際には、法改正があるたびに「うちは大丈夫だろうか」と、後から確認する。
説明を求められたら、即答できない、そんな状態が続いています。 .
社長としては、気になりますよね。

.北見事務所さんは、就業規則のメンテにどのように取り組まれていますか? .
会社の規模によって対応を分けています。

.具体的には、どう分けているんですか。 .
もともとの考え方は、こうでした。

中小企業については、北見事務所が実際に規程をメンテナンスする。
大手企業については、法改正情報をお伝えし、規程の改定は自社で行ってもらう。

.役割分担を分けていた、ということですね。 .
はい。中小企業では、人事や総務を専任で置けないケースが多く、規程を社内で継続的に管理するのは現実的ではありません。
ですから、北見事務所が実務として手を動かす。その際の文体は、北見事務所の標準的な文体を使います。

.中小企業の場合は、文体よりも、確実に回ることが大事、ということですね。 .
その通りです。

.では、大手企業は? .
大手企業の場合は、人事・総務・法務の体制が整っている前提があります。本来は、自社で規程をメンテナンスできるはずだ、そう考えていました。
そのため、法改正情報は北見事務所が提供する。そこから先は、会社側で規程を直してもらうという整理をしていたんです。

.でも、現実は違った。 .
はい。実際に遅れがちだったのは、中小企業ではなく大手企業の方でした。

.それは、意外ですね。 .
理由ははっきりしています。大手企業ほど、関係部署が多く、承認プロセスが複雑で、「誰が最後に手を動かすのか」が曖昧になりやすい。結果として、「分かってはいるが、進まない」状態になります。

.法改正情報は共有されているのに、規程は直っていない。 .
まさに、その状態です。

.そこで、対応を切り替えたわけですね。 .
はい。大手企業からも、規程のメンテナンスそのものを請け負うという形に切り替えました。

.中小企業と同じやり方ですか。 .
いいえ。そこは分けています。大手企業の場合は、その会社が長年使ってきた文体を最大限尊重します。

.文体を変えない。 .
はい。過去の就業規則や規程をていねいに読み込み、言い回し、語尾、条文構成を踏襲する。必要な部分だけを直し、従来と比べて違和感が出ないことを最優先にします。

.社員が読んでも、「急に変わった」と感じない。 .
その通りです。監査や外部から見ても、「自然に更新されている規程」として説明できる状態を作ります。

.その対応は、評判はどうでしたか。 .
正直に言うと、とても人気がありました。

.と言いますと。 .
「結局、そこまでやってもらえるなら助かる」「社内調整に時間を取られずに済む」「文体が変わらないのが一番ありがたい」
そういう声が多かったですね。

.確かに、大手ほど、規程の修正は後回しになりがちですから。 .
就業規則や規程は、派手な仕事ではありません。でも、誰が責任を持つのかが曖昧になった瞬間、止まる仕事です。

.だから、外に出す。 .
はい。会社の規模に関係なく、実際に回る形を選ぶ。それが、北見事務所の考え方です。