給与トップ > 相談事例集 > 目標管理制度が現場を壊すとき

目標管理が辛い

取引先の地方銀行は総合研究所を作っていて、そこが賃金制度作りのコンサルをしていたので依頼しました。そこから提案されたのが「目標管理制度」です。A3版の目標管理シートにびっしり書き込む欄があって、それを社員に見せたら引いてしまった…。

(三重県・建設業・社員15人・60代・社長)

.今日は賃金制度というより、目標管理制度の相談です。正直に言うと、かなり参っています。 .
はい。目標管理制度の件ですね。どんな状況でしょうか。

.取引先の地方銀行が総合研究所を作っていまして、「中小企業向けに賃金制度や目標管理制度のコンサルをしています」と言われて、お願いしました。
三重県の建設業で、社員は15人です。人事制度や目標管理制度を自分たちで一から考える余裕もなくて、「銀行が絡んでいるなら安心だろう」と思ってしまいました。 .
それで、どんな目標管理制度を提案されたんですか。

.出てきたのが、いわゆる本格的な目標管理制度でした。これです。(資料を差し出す)
A3版の目標管理制度用シートが何枚もあり、見た瞬間に「これは無理だな」と思いました。 .
……かなり書き込みが多いですね。

.びっしりです。年間目標、行動目標、数値目標、自己評価、上司評価。目標管理制度として、すべて文章で書け、と。
社員にこの目標管理制度を見せたら、全員、引きました。 .
現場の反応は正直ですね。

.はい。「これ、レポートですか?」「現場仕事しながら、目標管理制度のシートを書く時間はいつ取るんですか?」。そんな顔でした。
正直、いかにも銀行員向けの目標管理制度だと思いました。机に座って文章を書く仕事を前提にしている。 .
建設業の中小企業には合いません。

.ええ。しかも、この目標管理制度、書くだけじゃ終わらなかった。「この目標に点数を付けてください」「ウエートを設定してください」と、目標管理制度の評価方法まで求められました。 .
点数化する目標管理制度ですね。

.はい。売上は何点か。安全管理は何点か。後輩指導は何点か。さらに、売上は30%、安全は20%……。目標管理制度としてウエートを付けろと。
正直、きつかったです。 .
中小企業の目標管理制度では、そこが一番苦しくなります。

.どう振っても不満が出る。結局、この目標管理制度は、ノルマ管理と採点作業に変わってしまいました。社員は無難な目標を書く。上司は甘い点数を付ける。何のための目標管理制度なのか、分からなくなった。
そして、部長が困った顔してやってきました。 .
困った顔?

.はい。「社長、この目標管理制度、正直しんどいです」「現場が回りません」「できれば、中止してほしい」と。
逃げるタイプじゃない部長です。その人がそう言うくらい、目標管理制度が現場を追い込んでいました。社員からすると、正直、これは目標管理制度というより、いじめに近いと感じていたのかもしれません。 .
社長、その感覚は間違っていません。目標管理制度そのものが悪いわけではありません。ただ、銀行向けのフルセットの目標管理制度を、中小企業にそのまま持ち込むと壊れます。

.……では、北見事務所さんなら、目標管理制度をどうするんですか。 .
結論から言います。目標管理制度は、やります。

.やるんですね。 .
はい。ただし、中小企業向けの目標管理制度としてです。
使う紙は、A4一枚だけ。
書く目標は、3つだけ。

.それだけで目標管理制度になるんですか。 .
なります。人が本気で意識できる目標は3つまで。それが、中小企業の目標管理制度です。そして、点数を付ける欄は作りません。ウエート付けもしません。

.評価はどうするんですか。 .
評価はします。ただし、目標管理制度として採点はしませんが、昇給や賞与を決める際の参考にします。この程度なら簡単。すぐできる。説明が要らない。中小企業の目標管理制度は、それで十分です。